日本の年金制度を完全解説!厚生年金・国民年金の仕組みと将来予測
チョー簡潔結論
Quick Recap
- 日本の公的年金(二階建て構造)の仕組みと給付を図表と数値で整理。
- 保険料免除制度やマクロ経済スライドなど、制度を左右する要素を詳細に解説。
- 年収別の受給額試算や繰下げ受給の影響など、将来設計に役立つ具体例を提示。
KIKI からのアドバイス

- ねんきんネットで加入記録と見込み額を確認し、未納・未加入期間がないかチェックするにゃ。
- 配偶者や家族の区分(第 1〜3 号)を見直し、必要に応じて免除や追納の申請を行う。
- 繰上げ・繰下げのシミュレーションを家計のキャッシュフロー表に組み込み、退職後の収支を比較する。
はじめに:なぜ今、年金制度を理解すべきなのか
「年金なんて、まだ先の話」そう思っていませんか?
しかし、年金制度の理解は老後資金計画の第一歩です。
2024 年の年金制度改正で、受給開始年齢の選択肢が 75 歳まで拡大しました。
この変化の意味を理解し、自分の老後戦略を立てることが重要です。
早めに理解することで、将来の選択肢が広がります。
import { PillarPageLink } from "@/components/blog/PillarPageLink";
<PillarPageLink category="年金" />
日本の公的年金制度の全体像
2 階建て構造の年金システムとは?
日本の年金制度は「2 階建て構造」になっています。
これは、基礎となる国民年金(1 階部分)の上に、厚生年金(2 階部分)が乗る仕組みです。
┌─────────────────────────┐
│ 厚生年金保険(2階部分) │ ← 会社員・公務員が加入
├─────────────────────────┤
│ 国民年金(1階部分) │ ← 20歳以上60歳未満の全員が加入
└─────────────────────────┘
会社員や公務員は両方に加入し、自営業者は国民年金のみに加入します。
被保険者の種類
| 区分 | 対象者 | 保険料負担 | 年金給付 |
|---|---|---|---|
| 第 1 号被保険者 | 自営業者、学生、無職など | 月額 16,520 円(2024 年度) | 国民年金のみ |
| 第 2 号被保険者 | 会社員、公務員 | 給与の 18.3%(労使折半) | 国民年金+厚生年金 |
| 第 3 号被保険者 | 第 2 号被保険者の配偶者(専業主婦など) | 負担なし | 国民年金のみ |
国民年金(基礎年金)の詳細解説
国民年金とは、日本に住む 20 歳以上 60 歳未満のすべての人が加入する公的年金制度です。
基礎年金とも呼ばれ、老後の生活を支える土台となります。
保険料と給付額
import { StatisticData } from "@/components/blog";
<div className="grid gap-4 md:grid-cols-2 my-6">
<StatisticData value="16,520円" label="国民年金保険料(月額)" source="厚生労働省「令和6年度の年金額改定について」" url="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html" date="2024-04-01" description="2024年度の国民年金保険料" />
<StatisticData value="816,000円" label="国民年金満額受給額(年額)" source="厚生労働省「令和6年度の年金額改定について」" url="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html" date="2024-04-01" description="20歳から60歳まで40年間(480ヶ月)保険料を納付した場合" />
</div>
満額受給とは、40 年間(480 ヶ月)すべて保険料を納付した場合の金額です。
月額に換算すると約 68,000 円(¥68,000)となります。
年金額の計算方法
基礎年金額 = 816,000円 × (保険料納付月数 ÷ 480ヶ月)
計算例:35 年間納付した場合
816,000円 × (420ヶ月 ÷ 480ヶ月) = 714,000円/年
月額:約59,500円
保険料の免除・猶予制度
経済的に困難な場合の救済制度:
import { DataTable, Blockquote } from "@/components/blog";
<DataTable
caption="国民年金保険料の免除・猶予制度(2024年度)"
headers={["制度", "対象者", "年金額への反映"]}
rows={[
["全額免除", "所得が一定以下", "1/2が年金額に反映"],
["3/4免除", "所得が一定以下", "5/8が年金額に反映"],
["半額免除", "所得が一定以下", "3/4が年金額に反映"],
["1/4免除", "所得が一定以下", "7/8が年金額に反映"],
["学生納付特例", "学生", "年金額に反映されない(追納可能)"],
]}
align={["left", "left", "left"]}
/>
<Blockquote source="日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」" url="https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html" date="2024-04-01">
保険料の免除・納付猶予を受けた期間は、年金の受給資格期間に算入されます。 ただし、年金額への反映は免除の種類によって異なります。 追納することで、将来の年金額を満額に近づけることができます。
</Blockquote>
厚生年金保険の詳細解説
保険料の仕組み
保険料率(2024 年度)
- 料率:標準報酬月額の 18.3%(労使折半で各 9.15%)
- 標準報酬月額:88,000 円〜650,000 円の 32 等級
厚生年金の計算方法
厚生年金額は以下の 2 つの部分から構成されます:
1. 報酬比例部分
平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数
2. 経過的加算
2003 年 3 月以前の加入期間に対する特別加算
具体的な受給額シミュレーション
ケース 1:平均年収 400 万円で 40 年間勤務
- 平均標準報酬月額:約 33 万円
- 厚生年金額:約 109 万円/年
- 基礎年金と合計:約 190 万円/年(月額約 15.8 万円)
ケース 2:平均年収 600 万円で 40 年間勤務
- 平均標準報酬月額:約 50 万円
- 厚生年金額:約 164 万円/年
- 基礎年金と合計:約 245 万円/年(月額約 20.4 万円)
マクロ経済スライドの影響
マクロ経済スライドとは何か?
マクロ経済スライドとは、少子高齢化に対応するため年金額の伸びを抑制する仕組みです。
これは日本の年金制度を持続可能にするために導入されました。
調整の仕組み
年金額の改定率は以下の計算式で決まります。
年金額の改定率 = 賃金・物価上昇率 - スライド調整率
- スライド調整率:約 0.9%(2024 年度)
- 例:物価が 2%上昇しても、年金は約 1.1%しか増えない
将来への影響予測
import { Blockquote } from "@/components/blog/Blockquote";
<Blockquote source="厚生労働省「2024年財政検証結果」" url="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/" date="2024-06-01">
2024年の財政検証によると、所得代替率は現在の61.2%から2050年には経済成長ケースで50.8%、標準ケースで50.0%、低成長ケースで44.5%まで低下する見込みです。 所得代替率とは、現役世代の平均手取り収入に対する年金額の割合を示す指標です。
</Blockquote>
厚生労働省の 2024 年財政検証によると:
| シナリオ | 2024 年の所得代替率 | 2050 年の所得代替率 |
|---|---|---|
| 経済成長ケース | 61.2% | 50.8% |
| 標準ケース | 61.2% | 50.0% |
| 低成長ケース | 61.2% | 44.5% |
所得代替率とは、現役世代の平均手取り収入に対する年金額の割合を示す指標です。
年金受給開始年齢の選択
繰上げ・繰下げ受給の損得計算
繰上げ受給(60〜64 歳)
- 減額率:1 ヶ月あたり 0.4%
- 60 歳受給開始:24%減額
繰下げ受給(66〜75 歳)
- 増額率:1 ヶ月あたり 0.7%
- 75 歳受給開始:84%増額
損益分岐点の計算
| 受給開始年齢 | 年金額(65 歳時点=100) | 損益分岐年齢 |
|---|---|---|
| 60 歳 | 76% | - |
| 65 歳(標準) | 100% | 基準 |
| 70 歳 | 142% | 81 歳 |
| 75 歳 | 184% | 86 歳 |
将来の年金額を増やす方法
1. 付加年金(第 1 号被保険者向け)
- 付加保険料:月額 400 円
- 受給額増加:200 円 × 納付月数/年
- 回収期間:たった 2 年!
2. 国民年金基金
- 自営業者向けの上乗せ年金
- 掛金は全額所得控除
3. 任意加入制度
- 60 歳以降も国民年金に加入可能
- 65 歳まで(年金額が満額でない場合)
4. iDeCo との併用
- 公的年金の不足分を補完
- 掛金全額所得控除のメリット
年金制度の今後の見通し
2025 年以降の主な改正予定
- 在職老齢年金の見直し
- 支給停止基準額の引き上げ検討
- 厚生年金の適用拡大
- パート労働者への段階的拡大
- 2024 年 10 月:51 人以上企業
- 2026 年 10 月:全企業(予定)
- 保険料の見直し
- 国民年金保険料の上限検討
KIKI からのアドバイス:年金戦略の立て方
年代別の対策
20 代〜30 代
- iDeCo や NISA で公的年金の不足を補う
- 厚生年金加入期間を最大化(転職時の空白期間に注意)
40 代〜50 代
- ねんきん定期便で受給見込額を確認
- 不足額を明確にして追加の資産形成
60 代以降
- 繰下げ受給の検討(健康状態と相談)
- 在職老齢年金の仕組みを理解して働き方を最適化
まとめ:年金は老後資金の土台
公的年金だけで老後生活を賄うのは難しいのが現実です。しかし、終身で受給できる公的年金は老後資金の重要な土台です。
今すぐやるべきこと
- ねんきんネットに登録して将来の受給額をシミュレーション
- 不足額を計算して、必要な貯蓄額を明確化
- iDeCo や NISA を活用した補完的な資産形成を開始
老後資金シミュレーション
具体的な数値で老後資金を計算したい方は、KIKI KANE シミュレーターをご利用ください。
